剛柔流空手道はその技術を習得して向上するとともに心身の健全な育成を促すのにとても優れた内容を持っています。
流祖宮城長順先生が剛柔流空手道を近代体育として見直し、現在いわれている科学的トレーニングを含めた練習体系を昭和の初期に創り上げられました。
優れた五つの特徴
- 一、精神面
- 厳しい稽古に打ち込むことで精神の集中力を向上させることができ、自制心や節度も育成され、克己心の養成に役立ちます。
さらに、動作に気持ちを集中させることで精神力を凝縮させ、集中エネルギーとして発する修練をすることができます。
- 二、身体面
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宮城先生は早くから予備運動を採り入れ、全身の関節と筋肉の柔軟強化に努められました。
剛柔流の極意は基本三戦(サンチン)の呼吸呑吐にあると言われています。
攻防時の体の浮沈、挙止進退、敏捷性、持久力、瞬発力等を正しい呼吸法により修得することが目的です。
さらに開手形は接近戦を主眼とし、入り身の時の破壊力を強化するために補助器具を使用し全身を強化することも実践し奨励されました。
予備運動と補助器具運動で強靭な均衡のとれた身体を目指し、また各人の武才に応じて心身を鍛錬するのが剛柔流の特徴です。
- 三、健康増進
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剛柔流は腹式呼吸を重視した修練を行っています。
その基本である「三戦(サンチン)」と「転掌(テンショウ)」の形は「気」「息」「体」の修練を目的としています。気力、活力と体力の増強が健康にもたらす効果は絶大なものです。
- 四、護身に役立つ
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いざ自分を護るとき、ふだん修練をしている運動能力や敏捷性、冷静に対処できる精神面が大いに役立ちます。
稽古を通じて養われた精神力が相手につけ入らせず、そうした事態になっても一蹴できます。
- 五、老若男女が体力に応じて修練できる
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個人の体力に適応した稽古により現在よりもさらに向上した体力と気力を目指すことができます。単独で狭い場所でも、いつでも体調や体力に応じた稽古が可能であることは大きな魅力です。
信義・友愛・礼節を守り、自主・自立・創造性を養います。また、空手道の稽古を通し、心身を鍛えると共に、学問を尊び、国と郷土を愛し、国際社会に貢献できる人間形成を目指し指導いたします。
流祖・宮城長順先生の遺訓「人に打たれず 人打たず 事なきをもととするなり」は、剛柔流空手道の基本理念であります。
戦って勝つだけが目的ではなく、戦わずして目的を達成することが剛柔流の道であります。
武を修行する者は、常に「謙虚」な姿勢で相手に接し、争いをさけ、目的を達成するために努力する。武術の修行を通して真の人間形成を目指します。
- 沖縄剛柔流空手道の極意は型の中に在ると知るべし
- 型は単なる形を示すものに非ず、変幻自在の動作を単的に具現せるものとして、剛柔流の神髄、ここに結晶しあることを認識、常に初心に立ちかえり練磨すべし。
単純素朴なる練磨と疎かに思うべからず、これを通してのみ極意に到達するものなり。
- 沖縄剛柔流空手道は自己の中に天地自然の調和を表現するものなり
- 柳の如く柔軟なる面と、動かざること泰山の如き面、即ち剛柔両極の混然と一体となる時、諸元調和の天地の揺るぎなき姿、そこに展開するなり。
剛と柔の調和は乾坤一如、自然の摂理と同義にして、実に吾人は、
沖縄剛柔流空手道を通じ、自己一身の中に自然の調和を表現し得ることを知るべし。
- 沖縄剛柔流空手道は徳の道を追及するのものなり
- 沖縄剛柔流空手道は肉体と精神を練磨することにより霊肉一致の理想的人間性を涵養するものなり。
もとより兵法には、「勝つ」と云う一義はあれども徳の至りにて勝つことこそ至高なものなり。故にこの道を志す者、常に「忍」の一字を忘れず。
自らの徳を高め、戦わずとも勝つと云う兵法、終局の極意を追及すべし。